文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

地域緩和医療学修プログラム

大学名等
筑波大学
取組む分野
緩和医療
対象者
医学類生(地域枠学生を含むすべての学生)
対象年次
1年次、3年次~6年次
養成すべき人材像

高齢多死社会で地域医療を実践するにあたり、患者・家族を継続的かつ包括的にアセスメントしてその苦痛を緩和できる人材を養成する。具体的には、以下の能力を備えた人材を養成する。
①地域医療において、患者・家族を継続的かつ包括的にアセスメントして、その苦痛を緩和することの必要性、重要性を理解できる。
②地域住民の「病の体験」を聴き、「病の軌跡」モデルをもとに理解できる。
③人生の最終段階で生じる身体的・心理的・社会的苦痛を緩和し、患者と家族のQOLの向上に寄与できる。
④地域社会の文化的背景を理解したうえで、人生の最終段階における個人や家族の死生観や倫理的課題を理解し、適切な対処方法を見出すことができる。

科目等詳細
<講座型科目>
・医療概論Ⅰ(必修、2単位のうち6コマ、1年次)

患者、家族を包括的にアセスメントし、様々な苦痛を緩和することの必要性、重要性について、講義と事例検討を通して学ぶ。現在は大病院で治療を受ける若年がん患者の事例を用いているが、地域における高齢認知症患者の事例に改変し、地域医療のセッティングにおける多面的な苦痛緩和について学ぶ。

・機能・構造と病態Ⅱ(腫瘍学総論コース)(必修、37単位のうち2コマ、3年次)

緩和医療学概論として、緩和医療学の概念、病の軌跡、および基本的なコミュニケーションスキルについて学ぶ。現在は大病院の事例を用いているが、在宅患者の事例に改変し、地域医療における緩和医療学について学ぶ。

・医療概論Ⅲ(ケア・コロキウム):(必修、3単位のうち21コマ、3年次)

多職種学生と協働で事例検討を行う本コースにおいて、人生の最終段階の医療・ケアにおける苦痛に関する包括的評価、倫理的課題をテーマにしたシナリオを、計9シナリオのうちの1つとして導入する。

・クリニカル・クラークシップ準備学習(小括講義)(必修、18単位のうち2コマ、4年次)

重い病を持つ患者と家族の苦痛を包括的に評価し、苦痛を緩和しQOLを向上させる具体的な方法を講義と事例検討を通して学ぶ。新たに人生の最終段階の医療・ケアにおける倫理的課題について講義と事例検討を通して学ぶ時間を追加する。

・医学総括(必修、10単位のうち2コマ、6年次)

現在行っているがん患者における苦痛緩和に関する講義に加えて、認知症、慢性心不全、フレイルなど地域高齢者において頻度の高い疾患・病態の包括的な苦痛緩和について、家族や友人などの患者を取り組む環境の調整や地域の社会資源のマネジメントを含めて学ぶ講義を追加する。

<実習型科目>
・選択クリニカル・クラークシップ(選択、2週間、M5クリニカル・クラークシップ(PhaseⅠB、PhaseⅡA)22単位またはM6クリニカル・クラークシップ(PhaseⅡB)4単位の一部として実施、5-6年次)

地域医療における緩和ケアを学ぶことを目的として、5年次10月~6年次5月の期間に2週間のコースを新規に開設する。地域の専門的緩和ケア施設・サービスにおいて、人生の最終段階における患者、家族の苦痛を包括的に評価し、緩和する方法を具体的に学ぶほか、地域住民に個別化されたケアを提供することを学ぶために、以下の実習を行う。

  1. 地域住民との対話型実習:地域住民が参加する対話型活動に参加し、講義で学んだ苦痛を包括的にアセスメントする方法や「病の軌跡」の概念を用いて、患者の苦痛をどのように緩和し、生活をどう支援していくのが良いかについて検討する。
  2. 患者会・遺族会への参加:地域における患者会や遺族会への参加、もしくは「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」などのオンライン・データベースを活用して、患者・家族が抱える身体的・心理的・社会的苦痛を緩和することの必要性、重要性、および人生の最終段階における死生観や倫理的課題を学ぶ。
教育内容の特色等
(新規性・独創性)

【新規性】近年、医学研究領域で推奨されているPatient and Public Involvement(患者・市民
参画)の概念を医学教育に応用し、地域住民が医学生とともに「病の体験」について話し合うこ
とを通じて、地域住民の未分化のあらゆる健康問題や地域社会の文化的背景を深く理解する。ま
た、わが国の緩和医療はがん医療を中心に整備されているが、世界的には「すべての重い病を持
つ患者と家族」を対象とし、Universal Health Coverageの一部と考えてその提供体制が整備され
てきている。がん以外の疾患・病態に対する緩和ケアをどう提供し、患者家族のQOLを改善するか
を多面的に学ぶ。
【独創性】患者会や遺族会への参加を通じて、患者・家族が抱える身体的・心理的・社会的苦痛
を緩和することの必要性、重要性、および地域住民の死生観を理解する。

指導体制

筑波大学緩和医療学、地域医療教育学、地域総合診療医学の専任教員が中心となって指導にあた
る。なお、実習は、筑波大学附属病院地域医療教育センター・ステーションを中心に行う。

開始時期
令和4年10月