文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

地域医療(プライマリ・ケア)学修プログラム

大学名等
筑波大学
取組む分野
地域医療
対象者
医学類生(地域枠学生を含むすべての学生)
対象年次
1年次~6年次
養成すべき人材像
  • 地域医療の抱える問題点や、将来の課題について、目の前の患者の疾患というミクロな視点から、社会の動向や医療政策を踏まえてコミュニティ全体を俯瞰できるマクロな視点まで、シームレスにとらえ、対応できる。
  • 設備の整った大病院とは全く異なる地域医療の特性を認識し、その中で地域医療に貢献するキャリアの魅力や重要性を理解する。
科目等詳細
<講座型科目>
・医療概論Ⅰ(必修、2単位のうち6コマ、1年次)

医療概論Ⅰ~Ⅴは、臓器系統別で学ぶことが難しい、医師として重要な知識・技能・態度について、6年間を通して学ぶために設定された科目である。
医療概論Ⅰは、入学直後に行う導入のコースであり、その中で「健康の社会的決定要因」をテーマにした事例を取り上げたテュートリアルを新しく実施し、地域で暮らす人々の健康の背景を考え、それにアプローチする地域の医療者の役割について基礎知識を習得する。

・医療概論Ⅱ(必修、2単位のうちテュートリアル・講義16コマ、実習1日、2年次)
  1. 在宅ケアテュートリアル:在宅ケアの事例に基づき、ケアプランを作成する1週間のテュートリアルである。医療資源の乏しい地域におけるケースを用いたシナリオを新しく導入し、地域により異なる医療・介護環境の違い、その地域での患者・家族の地域での暮らし、介護職など多職種との連携を学ぶ。
  2. 地域医療早期体験実習:実際の地域で在宅ケアを含むプライマリ・ケア(診療所及び介護施設)で1日間の実習を行う。
・医療概論Ⅲ(必修、3単位、3年次)
  1. 地域ヘルスプロモーション:地域の健康増進のための医療者の役割を理解し、実施のために必要なスキルを修得することを目的として、地域の特性にあわせたヘルスプロモーションに関する1週間の講義・演習および現地での健康教育を企画・実施する。学生が選択するテーマの一つとして、新規に地域におけるフレイル予防のテーマを立ち上げて、県内の高齢者を対象に健康教育を行うコースを設置する。
  2. ケア・コロキウム:医学群3学類と東京理科大学薬学部との合同コースで、職種間連携のために必要なスキルを学ぶことを目的とした事例にもとづくテュートリアルを行う1週間のコースである。全体講義や演習で、大学病院とは異なる地域医療における多職種連携について学ぶ内容を追加するとともに、計9シナリオのうち、地域医療の実際の事例に基づく臨場感のあるシナリオを3つ以上導入して「地域における職種間連携」を学ぶ。
・医療概論Ⅳ(必修、2単位のうち2コマ、4年次)

ポストコロナ時代の地域医療で急速に普及が見込まれる、遠隔診療・オンライン診療の実践に関する講義および演習を新たに追加して、オンライン診療の実際およびオンラインコミュニケーションの基本について学ぶ。

・研究室演習(地域医療教育学)(選択、3単位、1-4年次)

入学直後から4年次まで随時履修できる研究室演習において、地域医療をテーマとするコースを開講し、本プログラムにおいては希望者に対するオプションとして位置づける。低学年の時期から継続して地域の現場に入り、地域医療の概念を実践の場に照らし合わせて理解を深め、その魅力を実感することができるのが特長である。実際には、指導教員とともに地域フィールドワークを行う。テーマとしては、地域ヘルスプロモーションと医療人類学的アプローチの2つを提供する。
前者は、まず、時間をかけて地域のニーズを把握、理解して、自らが関わるテーマと対象を決め、その後、複数年かけて地域の健康ニーズを探り健康増進のための取り組みを行い、モニタリングして次の取り組みにつなげていくプロジェクトに参加するプログラムである。
後者は、県内の地域で暮らす家族を担当し、年に2回ずつ継続して訪問して信頼関係を構築しながら、その家族の歴史、生活、健康の背景になるものについて情報収集する医療人類学的なアプローチ・分析を行うプログラムを提供する。(地域枠医学生を優先。各学年定員3名)

<実習型科目>
・医療概論Ⅴ(必修、2単位、5-6年次)

医師不足が顕著な地域を中心に、地域医療の第一線において、保健・医療・福祉のすべてのフェーズに関わり、地域医療について広く学ぶ3週間の地域滞在型実習を行う。教育のフィールドについては、地域包括ケアを広く学べるように、医療機関以外の実習(地域診断、多職種実習、住民との対話、ヘルスプロモーションなど)を大幅に取り入れる。特に健康の社会的決定要因については、自らが実習した地域における事例から、問題を認識して情報収集を行い、対応について考察するプログラムを大幅に拡充し、理解を深め、知識の定着を図る。
あわせて、地域医療に関するオンデマンドコンテンツ(産業医活動、多職種連携、在宅医療、遠隔医療など)を作成し、実習中に、地域医療現場におけるトピックについて興味のあるテーマを選んでさらに掘り下げた学習ができるようにする。
実習は5年次10月~6年次5月にかけて、学年全員が行う。(5年次105名、6年次34名)

教育内容の特色等
(新規性・独創性)

地域医療について深く学ぶためには、低学年から計画的・段階的に学びを深めていく必要がある。
本プログラムは、1年次から6年次まで、縦断的に設置されている科目である医療概論の枠組みを活用して、地域医療に関する体系的な学修ができるよう計画されている。低学年において学習進度にあわせて十分な準備学習を行い、地域医療の特性や課題に関する理解と認識を高めたうえで、高学年の臨床実習において現場のケースを通して学びを深める実習を取り入れることで、より深い理解と実践力を修得できるのが特長である。
また、地域医療を担う医療者の役割として、病気を発症した患者に適切に対応するだけではなく、将来にわたり健康へ影響を与えうる個人・地域社会に埋め込まれた要因(労働環境、医療へのアクセス、地域文化、幼少期の環境など)に着目して、「個」だけでなく「地域集団」の健康増進に積極的に働きかけることが重要である。本プログラムでは国内でまだ普及されていない「健康の社会的決定要因」の教育を取り入れるなどして、ヘルスプロモーションの意義を認識し実践するスキルを修得できる教育にも重点をおいていることが特徴である。
臨床実習施設の多くは医師少数地域にあり、学生はこのような地域において、第一線で活躍する医師のロールモデルに直接触れ、地域医療に貢献するキャリアの魅力や重要性について実際に体験できる。

指導体制

臨床実習前教育(医療概論Ⅰ~Ⅲ)については、地域医療教育学の教員がコーディネーターとなり、医学教育企画評価室の全面的な支援の下で教育を実施する。テュートリアルの実施に当たっては、小グループのテューターを担当する教員に対して、詳細なインストラクションを行い、建設的な議論を通して学生が学びを深めることができるように配慮する。
臨床実習(医療概論Ⅴ)については、地域医療教育学/総合診療科の教員が中心となり、現地の多職種を含む指導者と連携して教育を行う。

開始時期
令和4年10月