文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

令和5年度 緊急時初期対応学修プログラム・コース 実習レポート

ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業の教育プログラム・コースのひとつに緊急時初期対応学修プログラムがあります。

患者の急変を適切に評価する観察力を養うと同時に、適切な初期治療を実施して必要な救急要請、救急医療機関への転医の判断力を指導したり、超音波検査を有効的に活用したショックの鑑別スクリーニングスキルを養うプログラムになります。

その中で、筑波大生4年次~5年次を対象に、救急・集中治療部での臨床実習の初日に外傷初期診療についての講義と超音波シミュレーターを用いたFASTの実践およびBLS/ALS実習を行っており、今回臨床実習の初日のプログラムに参加した 筑波大学5年 武田淳宏さん より実習の内容と感想をいただきました。

・外傷初期診療レクチャー(井上先生)

多発外傷の初期診療指針の流れやPrimary Survey(PS),Secondary Survey(SS)の目的と意義。PSにおけるABCDEアプローチやVital signの評価法についてスライドを用いて講義された。

多発外傷では病態が複雑かつ重篤であり治療の優先順位の決定が重要であることが分かった。そのため多発外傷に対する初期診療の流れは細かく決まっており、生命に影響を及ぼす外傷の検索と蘇生処置を行うためのPrimary Surveyと解剖学的に系統だった全身の損傷検索と診断のためのSecondary Surveyの大きく2つに分けられることを知った。これらの手順を踏んで状態を評価し適切に対応することで多発外傷の患者さんの予後が大きく変わることを学んだ。

・BLS/ALS実習(下條先生)

BLS(一時救命措置)と何か。蘇生を始める必要性はどのように判断するのか、また心停止時の心電図波形にはどんなものがあるのかをスライドを用いて講義された。その後蘇生法についての具体的な手順をビデオにて確認したのち、模型を用いて様々なシナリオに対する蘇生のロールプレイを行った。治療可能な心停止に遭遇した際の対応や早期除細動の重要性を学んだ。

・武田さんの感想

多発外傷は病態が複雑で、時にそれが広範囲に及ぶため広い視点で総合的に患者を診る必要があると感じた。これは救急科に限らずどの科に進んだとしても大切なことだと思う。またBLS/ALSのロールプレイでは、知識があってもいざ模型を前にすると焦りや緊張から何から取り掛かればよいのか分からなくなったり、手順を間違えたりというイレギュラーが起きてしまうことが分かった。院内にいればいつでも起こりうる心停止に備え一人一人が日常的に手順を確認しておくことが大切だと感じた。

救急・集中治療科CCの初日にこのような講習会を受講できたことは今回の実習を行う上で非常に役に立った。実際に実習で患者が搬送されてくると緊迫した中で様々な診察や手技が次々と行われている様子を目の当たりにするが、今回事前に初期診療の流れや意義について学んでいたことで現場で行われていることの目的や見るべきポイントが明確になり有意義な実習となった。

(筑波大学5年 武田淳宏さん)