文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京化学大学

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令和6年度 包括医療統合教育 講義レポート(東京科学大学)

東京科学大学では医学科5年生の学生を対象に、包括医療統合教育という講義を年8回実施しています。

この講義ではさまざまな立場で活躍する先輩医師の講義を聞き、自身の将来の進路選択に視野を広げ、課題や障壁についても考察することを目的としています。

  

今回は2024年11月に行われた講義について報告します。

  

今回の講義は、厚生労働省の医系技官として働く先生にお願いしました。

東京医科歯科大学を卒業後、初期研修1年目は当大学病院で、2年目は茨城県内の病院で勤務され、地域での医療が抱える課題に直面したことを契機に、公衆衛生の道に進んだという当大学の先輩医師です。

  

公衆衛生的視点と医学的知識・経験から、現場と行政の橋渡しとして行われている様々な取り組みについてお話しいただきました。

講義スライドより

講義後に、

  

「あなたが医療政策の設計や運営に関与する立場を選ぶとした場合、自分ならどのような課題に取り組みたいですか。これまでの臨床実習の経験を踏まえて考えを述べてください。」 

  

というテーマで提出されたレポートの一部を抜粋して紹介します。

  

学生レポート:

  

・もし自身が医療政策の設計に関与するとした場合、医療アクセス格差の是正に取り組みたいです。地方医療の強化、人材確保、予防医療の推進、多文化医療への対応を重視します。臨床実習で得た現場の視点を生かし、患者と医療従事者双方に寄り添う政策を設計したいです。

  

・大学病院を受診する患者さんの中には、複数の医療機関にかかりポリファーマシーの状態となっていることが入院後にはじめて発覚する方も少なくないと感じます。最近マイナンバーカードに薬剤情報を紐づけすることができるようになってきたので、この機能を活かして解決につなげることができるのではないかと考えます。個人情報保護の問題などクリアしなければならないと思いますが、このような課題に取り組みたいと思います。

  

・良いアイデアがあるわけではないのですが、独居高齢者を地域、特に都心の地域でどのように見ていくかという課題に興味があります。都心部は病院も介護施設もデイケアもたくさんあって、それぞれで何が行われているのかを把握することが難しいのではないかと感じたので、負担なくかつ患者さんを思いやった診療情報提供や協力ができるようになったら良いなと考えています。

  

そのほかにも、医療費の問題や、医師の働き方についてなど様々な課題に関する意見が寄せられました。

  

学生実習を通して、様々な視点で医療の問題を認識していることが印象的でした。