文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

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令和5年度 総合診療塾特別回(テーマ:重症患者さんやその家族との効果的なコミュニケーション)を開催しました!

先日、総合診療塾特別回をハイブリッド開催しました。

重症患者さんとその家族に命に関わるお話をすることは医療者にとって非常に大切な任務でありながら重荷と感じることはしばしばあります。

米国で医療の研修を受けた6人の医師が集まり、米国VitalTalk®(https://www.vitaltalk.org) が20年以上に渡って教えているエビデンスに基づいた教育方法を日本の医療者に広めるために2019年から講習会を提供し、ついにかんわとーく®を設立しました。

今回はその講習会の短縮バージョンを提供していただき、実際に現地参加する2名の参加者(総合診療科専攻医)にもロールプレイを体験していただきながら、重症患者さんや家族とのコミュニケーションを効果的にかつ上手にできるための技術を紹介していただきました。

受講した専攻医から感想をいただいております。

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大西恵理子先生からご講義いただきました。「「治療方針を決める相談をする」ためにコミュニケーションをして本当のその人ありきを見定め話を進める」ことを目標にした内容で米国のVITAL talk(いざという時のACP)の一部をご指導していただきました。

治療ゴール決定のためのロードマップがREMAPという枠組みであって、Reframe(状況の変化を伝える), Expect emotion(感情に対応), Map(重要な価値観を掘り下げる), Align(価値観に基づいた治療ゴールの設定), Plan(具体的な治療計画)のことです。今回は”RE”を学ばせていただきました。そのためにコミュニケーションスキルとしてSPIKESやNURSEをうまく活用する練習を行いました。

OSCEからお馴染みのSPIKESですが、ポイントを教えて頂きより意味のあるスキルになったと感じます。また、Bad news tellingの場では簡単にわかりやすく伝えることが大切で、これをHeadlineと呼んでいました。ニュースの見出しくらいの短く、わかりやすい言葉で一番伝えたいことを伝えましょうということです。事実(何が起きた、起きているのか)+意味(そしてその意味することは)を考えるとよいそうですが。これがとても難しかったです。実際に症例のHeadlineを3-4人で考えましたが、各人の経験や重要視している部分の違いが出るなと感じました。

また、NURSEの練習として、患者さんからこんな発言があったらどうするか考えるワークがありました。「なぜ私が癌にならなくちゃいけないのですか」「今までの先生はこの治療でよくなると言っていました」など返事のしにくいシチュエーションでも、NURSEスキルを使うことを考えると少し気が楽になるということでした。今までは、自分の気持ちと頭を使って答えをひねり出していましたが、スキルを使うと気持ち・頭への負担が少し減って気が楽になるようです。

 最後に、今までのワークの総仕上げで模擬患者さんをお呼びしてロールプレイを行いました。医師役として私も参加しましたが、先生・参加者の皆さんの前で緊張し、模擬患者さんの迫力満点の演技に圧倒されつつ、冷や汗をかきながら終えました。私の短い医師経験のなかで、興奮状態でICにいらっしゃる患者さん・ご家族には出会ったことがなかったので、良い機会でした。直接大西先生や参加者の皆さんからのフィードバックを頂けたのも非常にありがたかったです。

次回は”MAP”の講義をやりたいとお話しされていましたので、楽しみですね。日本ではなかなか学ぶ機会のないVITAL talkをご指導頂く貴重な機会を頂き有難うございました。

専攻医 杉山遥夏先生

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第5回 総合診療塾は、

日 時 : 10 月 6 日(金)18:00~19:30

テーマ : アルコール

講 師 : 筑波大学附属病院 総合診療科 吉本 尚医師

詳細、申し込みはこちらをご覧ください https://tsukuba-soshin5.peatix.com