文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

令和5年度 第2回総合診療塾(テーマ:臨床推論の基本的な考え方)を開催しました!

先日、第2回総合診療塾を開催しました。

第2回総合診療塾のテーマは、「臨床推論の基本的な考え方」

筑波大学附属病院 総合診療科 前野哲博教授が講師となり、

症状を訴える患者さんに対して、効果的に病歴を集め、過不足なく鑑別診断を挙げて、診断を絞りこんで次のアクションにつなげていく一連の臨床推論のプロセスについて、基本的な考え方を参加者とともに考える時間となりました。

そこに参加された学生さんに感想をお聞きしました。

——————————————————–

第2回目の総合診療塾では、前野哲弘先生から「臨床推論」についてのお話を伺いました。臨床推論とは、病歴や身体所見といった患者情報を収集・解釈して臨床決断に至る思考プロセスのことです。日頃の医学教育では、まず先に疾患が存在し、その症状や治療法について学ぶ疾患論、すなわち「目次の医学」に基づいて学習を行っています。一方で臨床推論は、症候ではなく症状が既知情報であり、そこから疾患を推論していく症候論という形をとっています。臨床推論は、「索引の医学」と称することも出来、疾患を目次からも索引からも引ける能力を身に着けていくことが大切です。

今回は臨床推論をするにあたって重要なことを、三つに絞って教えていただきました。

それは、

① 「グラフを描けるように」病歴をとること

② 一元的に考えること

③ 病気を「部位」+「病因」に分類して捉えること

です。

三つのポイントを教えて頂いたところで、実際に臨床推論に取り組んでみました。

ここでは一つ目の症例について考えたことを共有します。

個人ワーク、グループワークの時間では、感染症、神経疾患、妊娠、食中毒などの可能性を考え、今の症状や、頭痛、腹痛、めまいの有無、以前にも同じような症状があったかどうかを確認したいという結論に至りました。最終的に前野先生から伺った解説では、時間単位のエピソードかつ発熱を伴うことから感染症の可能性を考え、その要因としては消化器または髄膜炎の大きく2つの可能性があること、病因の頻度としては消化器系の症状である下痢の有無を確認したいこと、さらに発熱を伴う食中毒では直近の食事は鑑別に使えないことなどを教えて頂きました。

普段の授業内で症状から疾患を推論する際は、学習している診療科の先生方がシナリオを作成されているため、ある程度範囲を絞って検討することが出来ます。けれど実際の臨床現場では、より幅広く病因を検討することが必要です。実際に取り組んでみると臨床推論は難しく、なかなか手が出ないのが現状でした。グループワークを共有した際には、たった1年しか学年の変わらない4年生のグループから、髄膜炎という自分たちは想起しなかった病因が挙げられたことに非常に驚きました。

一方で分からないなりに検討し考えをひねり出す時間や、解説を通して新たな視点を学べた時間は非常に有意義で、学ぶ楽しさを実感することができました。

今回の学習を通して特に印象に残ったのは、臨床推論における重要なポイントの一つである、「グラフを描けるように」病歴をとることです。病歴をグラフ化することで、それぞれの症状の関係性や現在の状況を明確に理解し、また予後の推測をも行うことが出来ます。今後臨床推論の学習を進めていくにあたって、この病歴のグラフ化という視点を意識していきたいと思います。

(筑波大学医学類3年 地場凜々子さん)

——————————————————–

第3回 総合診療塾は、

日 時 : 7 月 18 日(火)18:00~19:30

テーマ : 患者中心の医療の方法

講 師 : 筑波大学附属病院 総合診療科 任 明夏医師

詳細、申し込みはこちらをご覧ください  https://tsukuba-soshin3.peatix.com