文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

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令和5年度 第10回総合診療塾(テーマ:ポリファーマシー)を開催しました!

3月13日(水)に今年度最後となる第10回総合診療塾を開催しました。

今回のテーマは「ポリファーマシー」

たくさんの薬を飲んでいる患者さんは多くいらっしゃいます。

今回の総合診療塾では、患者さんにとって何が適切な処方なのかをワークを織り交ぜながら、進めていきました。

ポリファーマシーとは?を学び、考える、とても良い機会になりました。

以下、参加された筑波大学医学群医学類3年 稲本夏子さんの感想をご紹介します。

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総合診療塾第10回のテーマは「ポリファーマシー」でした。

本講義の目標は2つで、「ポリファーマシーという問題があることを認識し、薬の処方について主体的な態度をとれるようになること」、「ポリファーマシーの問題を通して、多職種との連携、患者や家族とのコミュニケーションの重要性を認識すること」です。

ポリファーマシーとは、単に服用する薬の数が多いことではなく、薬の数が多いことで患者の健康に影響が出る状態のことを言い、これが起こる要因には以下の4つがあります。

環境要因:かかる医療機関が増えることでポリファーマシーになりやすい。

患者要因:多くの疾患を抱えており、薬が増えてしまう。ガイドライン通りに処方すると

     多剤処方になる。

     加齢に伴う老年症候群に対して薬を処方することで薬が増える。

     薬の副作用が新たな症状として認識されてしまい、処方カスケードに陥る。

医療者要因:前回と同じ処方を続けるDo処方。処方は定期的に見直す必要がある。

診療時間:多くは3~10分程度で、処方を見直す時間がない。

以上のことから、特に高齢者では薬の数が増えやすいと言えます。

また、ポリファーマシーの問題点には以下の5つが挙げられます。

1. 副作用

2. 飲み合わせが悪い

3. 不適切な処方が多くなる

4. 飲み忘れが多くなる

5. 医療費が増大する

高齢者は肝臓や腎臓の機能低下により、薬の副作用が出やすい状態です。

ポリファーマシーは患者の健康状態に影響を与えるのはもちろんのこと、医療費の増大といった社会的問題にもつながる重要なテーマであり、特に高齢者において問題となりやすいと言えます。

ここで、ポリファーマシーに対するアプローチを考えます。

この時、単なる減薬ではなく、処方の適正化を目標にします。

処方の適正化のためには、減薬プロトコルや「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の活用に加え、患者の思いに配慮した服薬指導が必要となります。

講義では、舛本先生から上記の説明があった後、事例を用いて患者に処方されている薬の整理とそのプロセスについてグループに分かれて討論しました。

私のグループは、医学生の他に薬剤師の方もいらっしゃったのですが、薬剤の機序からどのような場合に処方されるかに至るまで薬に関する膨大な知識量に圧倒されました。

また、事例では処方薬が一覧となって提示されましたが、地域で生活され、ポリファーマシーの状態となっている患者において処方薬を正確に把握することは簡単でないと感じました。

今回の講義や討論を通して、私はポリファーマシーの問題に対応する際、患者とその家族及び、薬剤師や看護師をはじめとした多職種間で連携が取れることが最も重要であることを学びました。

それは、処方薬の把握だけでなく、患者の生活や思いを知るために多職種連携がより重要であり、それらを知ることで各職種が様々な工夫を凝らして処方を適正化できると考えるからです。

各職種から見えるのは、患者のほんの一部でしかないことを自覚し、患者本人はもちろん、患者家族や他職種の方の話に耳を傾け、患者本人の思いを汲むことができる医療者になりたいと思います。

(筑波大学医学群医学類3年 稲本 夏子)

令和6年度もより実践的な内容いバージョンアップした総合診療塾が開催されますのでよろしくお願いいたします。

第 1回  4月24日(水) 総合診療/家庭医療とは
第 2回  5月14日(火) 身体診察 概論
第 3回  6月14日(金) 臨床推論の基本的な考え方(風邪編)
第 4回  7月23日(火) 身体診察 バイタルサイン
第 5回  9月 3日(火) 緩和ケアにおけるコミュニケーション
第 6回 11月11日(月) 臨床推論の基本的な考え方(めまい編)
第 7回 12月10日(火) プライマリケアでみる糖尿病
第 8回  1月 17日(金) 臨床推論の基本的な考え方(しびれ編)
第 9回  2月 18日(火) 感染症診療の基本+誤嚥性肺炎
第10回 3月 17日(月) 臨床推論の基本的な考え方(全身倦怠感編)

詳しくはこちら→総合診療塾 | Peatix (※詳細、申し込み受付は4月上旬に公開いたします。)