文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

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令和5年度 地域医療(プライマリ・ケア)学修プログラム・コース コミュニケーション実習(1年次)レポート

地域医療(プライマリ・ケア)学修プログラムでは、筑波大学の入学直後の1年次を対象に、臨床医として重要な患者-医師関係の構築について学ぶことで、医学生として患者に接する時に配慮すべきことや自身の今後の学習目標を明確にするために、模擬患者とのロールプレイを行う実習をしています。

この実習では3-4人のグループで、SP(模擬患者)の方に協力いただき、学生は全員が交代で医学生役となり(設定:総合病院の内科初診外来、医学生として医療面接を行う)、5分間のロールプレイを行った後、SPを交えてグループでフィードバック、ディスカッションを行うものです。

実習の様子はこちら

SP(模擬患者)の方とロールプレイをしている様子
グループの他の学生はヘッドホンを用いて観察しています
ロールプレイ後、グループでフィードバック、ディスカッションをしています

以下、学生からのレポートからの抜粋

<グループでの話し合いのまとめ>

・診察をするにあたり、言葉で発せられる情報ももちろん大切だが、言葉では発せられない部分から得られる情報も診察をするうえでとても重要であるということを学んだ。

・医師自身も仕草など言葉以外の面で情報を発しているということを自覚し、患者に信頼してもらえるような振る舞いをする必要があるということがわかった。

・何かを質問する際には、理由を言ってからにする。いきなり質問することで患者を不安にさせる可能性がある。また、質問の意図を伝えることで、質問の内容が患者に伝わりやすくなる。

・Yes/No で答えられるような質問だけでなく、オープンな質問も混ぜるようにする。患者の方から話してもらうことが重要である。

<気づいたこと、学んだこと>

・SPさんからのフィードバックを通じて、医師が初めに与える印象によって信頼できるか否か、さらには自分の悩みを話したいと思うか否かが分かれるということを学んだ。

・今まで私は、診察をする際に必要なことは、とにかくいい情報を集めるために核心をつくような質問をすることだけであると思っていたが、今回の実習でそういった回答を引き出すために相手に信頼してもらえるようなコミュニケーションをすることも重要であることを学んだ。

・患者はあらゆる病気を想定して病院に来ていることが多いので、医師が患者にどういった病気を考えているのか聞く機会を与えてあげることで患者がどれくらい不安を感じているのか確認することが出来ると思う。

・患者さんの視線や姿勢、話す調子などからも読み取れるものがたくさんあることを学んだ。

・医学的な知識が豊富でも、コミュニケーションの取り方が下手であれば適切な診察をすることは難しく、良い医師になるためにはどちらもバランスよく身に着けることが必要であると思った。

<自身のコミュニケーションスキルを高めるために、今後意識的に取り組みたいこと>

・言葉よりもむしろノンバーバルコミュニケーションのほうがコミュニケーションにしめる情報量が多いということを知って、これからは仕草や表情などに関しても気を遣っていきたいと思った。

・患者と適切なコミュニケーションをとるためには鋭い観察力が必要である。今後友達や親と話すときなどに、相手の見た目や表情のつくり方をよく観察し、その人が何を思っているのかを予想することを意識したいと思う。

・患者との心の距離を縮めるためには様々なことについての知識を持っていることが必要である。そのため、自分が今まで関わってこなかった分野にも興味を持ち、積極的に調べることで、いざ話題に出たときに反応できるようになっておきたいと思う。