令和5年度 地域における感染症対応学修プログラム・コース (5年次)レポート
感染症対応学修プログラムでは、感染症科選択クリニカル・クラークシップにて筑波大学医学類5年次を対象に、2週間の実習コースを実施しています。従来は年間8人だった定員を32人に大幅に拡充するとともに、大学病院、感染症指定医療機関、クリニックのあらゆる場面での発熱外来および救急外来にて、発熱患者の診療・感染対策・迅速感染症検査・抗微生物薬適正使用について体系的に学べる、より充実したプログラムになっています。
今回は、実習での様子をお伝えします。
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1.【抗微生物薬適正使用の参加・見学】における、技師による学生への微生物教育風景(顕微鏡で細菌を見せる@細菌検査室)
2.【地域のクリニックへの感染対策指導】における寺田先生によるレクチャー風景(@筑波メディカルセンター)
3. 学生による感想
感染症内科の実習では病棟の患者さんの診療や外来見学のみならず、細菌検査室とつくば臨床検査教育・研究センター(i-Lab)とで検査研修を行うこともできた。
検査研修での具体的な内容としては、グラム染色の実践に加え、培地や染色後スライドでの様々な病原菌の鏡顕・観察、そして抗原検査や遺伝子検査、薬剤感受性検査などの検査の見学などが含まれていた。
病院実習以前も授業の一環でグラム染色を行ったことがあったが、それ以来染色を行う機会はなかった。今回の検査実習ではグラム染色の工程を復習し、検査技師の方の指導のもと注意すべき点を教えてもらいながら手技を習得することができた。研修医になれば自ら検体の染色をする機会も増えるだろうから、今回習得した技術をぜひ臨床に活用していきたい。
検査の見学においては検査技師の方が検査結果の解釈に関するピットフォールを多く説明してくださったことが印象に残っている。1例としてレジオネラ症に対する検査である尿中抗原検査の解釈が挙げられる。この検査はLegionella属の中でもLegionella pneumophila 血清群 1を検出するのであり、検査が陰性であっても他の血清群のL. pneumophilaや他のLegionella属の感染の可能性は否定できない、といったピットフォールがある。
医師になった際には今回教えていただいたこと活かして適切な検査結果の解釈ができるよう努めつつ、さらに検査技師の方とも意見を交わしながら知識を深めていきたい思う契機になった。
(筑波大学医学群医学類5年 北島壮一郎)