文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京化学大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京化学大学

サイトビジットレポート⑫(名古屋大学)

文科省補助事業「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」の専任教員である筑波大学医学医療系 孫 瑜先生が1 月に名古屋大学を視察されました。

1.視察目的

ポストコロナGPの採択拠点の一つである名古屋大学の取り組みについて学び、お互いに情報交換することで今後の事業のブラッシュアップにつなげるため。

2.視察施設名

名古屋大学

3.視察内容

・医療人類医学講義

医療人類学者である梅村絢美先生が開講している「地域医療フィールドワーク⼊⾨」の最終講義に参加した。この科目は名古屋市内で⽣活困窮者に対し⽣活医療⽀援を⾏う NPO 法⼈「ささしまサポートセンター」(旧笹島診療所)の医師・看護師のお話を聞きフィールドワークやエスノグラフィーについての知識を学んだ後、実際に毎週木曜日に開催される生活医療相談、そして年末年始の越冬活動に参加に学生が参加するものである。9名の枠であるが今年は応募が多く、抽選の末12名が受講した(医学部医学科はそのうち6名であり、他には看護学、作業療法学、⼯学、情報学、農学、教育学の2年生)。

この日は授業の締めくくりとのことで、学生が書いたレポートから作成された冊子を関係者に配布しながら、一緒に活動された支援団体のボランティアの方も交えて振り返りを行った。小さい班に分かれて自由な形で1時間ほど意見交換を実施し、その中に参加させてもらった。学生の学びとして、路上生活者とお話をする中で、今まで意識すらしていなかったそのような境遇にいる方の存在を知り、実態として思い浮かべられるようになった、と語っていた。このような支援は「つながり」を提供しているという意義がある一方で、支援が届かない方へのアプローチについても課題であること、ホームレスとハウスレスは異なる概念であり、単に居住環境を整えれば良いものではないことも話題に上がった。本来路上生活者は生活保護となり屋根のある部屋に住む権利は持っているはずだが、それを行使しない人の理由を考えるにあたり、これまでの生い立ちや経験から現在の思考や行動に至っていることにも考えが及んでいて、学生がその人自身に興味を持ち理解しようと努めている点も印象的であった(例えば、路上生活者の方はそのコミュニティの中で自分の居場所や役割を見出していることから環境を変えることに抵抗を示している可能性がある、などの意見が上がった)。

・意見交換

現地で宮地先生、梅村先生、木村武司先生、そしてWebで錦織先生、岐阜大学の牛越先生、そして筑波大学の前野先生を交えて1時間ほど他部署との連携方法や出口戦略について意見交換させていただいた。梅村先生が岐阜大学の学生に対して講義を行ったり、互いの大学で教員間のFDをする等の連携が取れている点が参考になった。また、岐阜大学のホログラムの取り組みなど最先端のバーチャル教育についても勉強になった。

4.感想

筑波大学でも人類学の先生には講義をしていただいたりしているが、学生の実習での学びについてコメントを頂くことでさらに深い視点で物事をみることができるようになるのではないかと思った。人類学の先生あるいは学生とも連携を深め、さらに医学生の教育につながるような取り組みを模索していきたいと思う。今後360度カメラを用いた教材作成を予定している話なども伺えたので、今後も情報交換しながら筑波大学でもバーチャル教育の可能性についても探ってみたい。

「地域医療フィールドワーク⼊⾨」最終講義にて、受講した学生やささしまサポートセンターの方々と
梅村絢美先生、宮地純一郎先生、木村武司先生と