文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京医科歯科大学

サイトビジットレポート②(高知大・和歌山県立医大・三重大合同 避難所体験&津波避難タワー見学研修)

文科省補助事業「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」の専任教員である筑波大学医学医療系 木村 友和先生が高知大学・和歌山県立医大・三重大学合同の避難所体験&津波避難タワー見学研修を視察されました。

1.視察目的

文科省補助事業「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」の遂行および医学教育の充実に寄与するため、他の地域での医学生及び研修医教育の現場や関わる方々との意見交換を通じて良い点や工夫を知り、改善に向けた新たな着想を得ること。

2.視察施設名

高知大学病院(高知県南国市岡豊町小蓮185-1)

3.視察内容

高知県は過疎地域になっているほかに、地震や台風等による災害が起きやす、地域医療の中における課題がある。高知大学としても1~3年生への地域医療教育として体験実習、2~4年生アクティブラーニングとして先端医療学コースが開設されており、地域総合診療・災害救急・医療DXなどをテーマに、それぞれが能動的に地域医療課題について学ぶコースがある。本GPによって、これらのコースが強化、発展し、他大学との連携が図られている。

今回は、選択希望学生による避難所体験、津波避難タワー見学研修として、座学と体験実習からなる多角的な学習の機会となっていた。災害時に医療者がどのように対応することを求められているか、現場に行って状況をイメージしたり、実際の手技を行いながら体験したりすることで、被害を受ける側から医療者としての困難までを考えることができていた。学生も大学や学年を超えた医学生、看護学生が集まり、三大学の教員が合同で指導が行われ、意見交換がなされていた。計20名の医学生と2名の看護大学院生、指導の付き添いとして各大学数名の教員が参加した。津波避難タワー見学では、市の担当職員からタワー設置に関する経緯の説明があり、4mほどの浸水に耐えられるタワーの構造や住民への周知など、行政の取り組みを知ることができた。夕食は非常食を作って食べ、避難所で使う点滴棒の代わりに使うロープの組み方結び方、三角巾の結び方や本結び、トランシーバーの使い方、等の災害時の体験実習を行っていた。指導も高知大学の学生が実施し、相互に教えあうようになっていた。浸水AR体験、簡易ベッド設営、など避難所での生活をイメージできるような体験実習が行われ、積極的に行っていた。災害自体は経験できないが、実際の現場に入ることと経験者からの語りによって、自分毎として学ぶことができており、学生および教員にとっても有意義な教育技法であった。

4.感想

本GPにおいて、学生も委員に組み込んでいることは注目すべき事項であった。また、本GPのアウトカム調査も包含された地域志向性アンケート調査(多施設共同研究)を実施しており、論文化まで考えたプロジェクト評価並びに教育研究を実施していることは、大変意義深いと感じた。

また、地域枠の学生は自身を「SEED」と呼称をつけて、活動しているとのことであった。地域医療者としての自覚を生み、選択実習に関しては地域でやるものは地域枠優先となっており、他の学生の不公平にならない程度のインセンティブもつけていた。ほかにも、学生に学会活動としてプライマリーケア学会に参加させているが、演題発表ではなく、ポスターを見ながらディスカッションをする企画を実践する等、学生を巻き込んだ取り組みが多くあり、大変参考になった。

シミュレーションセンター①
シミュレーションセンター②
津波避難タワー見学
災害用三角巾実習
災害用三角巾実習
記念写真
AR津波体験
記念写真