文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

筑波大学・東京化学大学

文部科学省補助事業 ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業

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東京科学大学の学生4名が茨城県神栖市で1泊2日の地域医療実習を行いました!

この夏、筑波大学・東京科学大学では学生実習の相互乗り入れ第一弾として、東京科学大学生を対象に茨城県神栖市での1泊2日の地域医療実習を行いました。

今回は筑波大学学生の実習と同様に、診療所や訪問診療、院外薬局、地域包括支援センターなどの実習を組み合わせる形で1泊2日の実習プランを作成し、東京科学大学の茨城県地域枠の学生を中心に案内しました。

東京科学大学の学生向けに作成したパンフレットはこちら

その結果、1~4年生の4名の学生が8月に実習に参加しました。以下、実習に参加した学生のレポートから抜粋したものです。

・1年生という初期の段階から医療の現場に立たせて頂くのはなかなか経験できないことですので、その有難みを噛みしめながら非常に多くの学びを得ることが出来た2日間でした。私はまだ医療知識がほとんど無い未熟者ですが、それでもこの実習を通して医師としての様々なスキルを学ぶことが出来ました。例えば、診察の時には closed question ではなくopen question で患者さんに質問することで、より多くの情報量を患者さんから引き出すこと、患者さんの年齢や人柄に合わせて診察するときの声量やテンションを変えること、正確な説明を心掛けつつ簡潔で分かりやすい言葉を用いて説明すること、「医師と患者」という関係よりは「人と人」という関係性に近いものを作り上げることなどです。医師としての技術を備えていることを前提として、優れたコミュニケーション技術や 築き上げてきた信頼関係を備えているからこそ、患者さんから信頼され愛される医師になることが出来るのだと実感しました。

・1日目午後での訪問診療では阪本先生から血圧の測り方などの手技を教わりつつ3つの家庭を訪問したが、どの家庭でも阪本先生は良好な関係を築いており、家族の構成やその考え方などを聴取することをとても重視しておられた。また、それが実際に患者の意思を尊重し、患者にとってより良い医療を提供することにつながっていることも感じられ、コミュニケーションの大切さを感じた。その後の阪本先生のメディカルケアステーション(MCS)に関するお話では、神栖市でのMCSの活用が医療者間の迅速な情報共有だけでなく、患者との良好な関係を築くためのコミュニケーションの一つとしてとても大きな役割を果たしていることを学び、その一方で他の多くの地域では診療所や医療サービス拠点間での情報共有が圧倒的に少ないことを知り、多くの課題があることに気付かされた。

・ソーシャルワーカーの方から、行政の支援制度を利用する患者さんのカルテも見せて頂きましたが、小説でも見ないような困難に囲まれ、どうにも動けない状況の方が何人もいました。日本では医療費や補助金の増大が問題となり、それを減らそうという声は常にあがっていますが、それが文字通りの死活問題となる人々が存在することはなんとなく理解しつつも、現実のこととして実感したのは初めてでした。そのような人々に医療面や行政面の片方だけでサポートしてもそこまで力になることはできず、密接に関係して取 り組まなければならない問題であって、医師は行政への意識をもっと持つべきだと感じました。

・訪問診療でも、同様に様々な人と話す機会が多く、地域医療全般においてコミュニケー ション能力の必要性を改めて感じました。また、訪問診療や訪問看護は生活支援的な要素 も兼ね備えており、診療だけでなく、日常生活が正しく送れているのか、薬の服用はきちんとできているのか、家族の状態はどうかなど、患者さんの生活全般を支える診療の在り方が印象的でした。