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令和7年度 包括医療統合教育 講義レポート(東京科学大学)

東京科学大学では医学科5年生の学生を対象に、包括医療統合教育という講義を年8回実施しています。
この講義ではさまざまな立場で活躍する先輩医師の講義を聞き、自身の将来の進路選択に視野を広げ、課題や障壁についても考察することを目的としています。

今回は2026年1月に行われた講義について報告します。
今回の講義は、全学生に向けたライフイベントと医師の仕事というテーマで、2名の先生にお願いしました。

女性医師、男性医師それぞれの立場から、ライフイベントと医師としてのキャリアについて、仕事と育児の両立や、男性として育休を取得された経験についてお話しいただきました。


講義後に、以下のテーマに関して、提出されたレポートの一部を抜粋して紹介します。


テーマ:

  1. 育児、介護、病気などこれから生じうるライブイベントを一つ選び、
    ①自分自身のライフイベントのために、
    ②15歳ほど部下のライフイベントのために、
    どのような準備をするか具体的な行動目標としてそれぞれ記述してください。

2. 男性育休の意義と課題について考察してください。講義を通じて考えが変化した部分があれば特に記載してください。

  

学生レポート—————————————————————————————

1. ライフイベント(育児・介護)に備えるための行動目標

【育児を想定して】

 自分自身のために: 普段から業務の属人化を防ぎ、手順や判断基準を周囲と共有して「急に休んでも仕事が止まらない仕組み」を作ります。また、制度を早めに調べてシミュレーションを行い、心理的な不安を減らしておきたいです。

部下のために: 育児は誰にでも起こり得ることだという雰囲気作りが重要です。育休取得がキャリアの不利益にならないことを実際の対応で示し、誰かが休んでもチームでカバーできる体制を整え、部下が安心して働き続けられる環境を作りたいです。

【介護を想定して】

 自分自身のために: 介護保険制度や利用できるサービスについて早めに情報を集め、いざという時の不安を減らします。業務の整理と引き継ぎの準備を日頃から行い、自分にも周囲にも無理のない働き方ができるよう備えます。

部下のために: 家庭の事情が変わった際に遠慮なく相談できる関係性を築きます。介護は突然始まることが多いため、特定の人に業務が偏らないよう進捗をチームで共有し、多様な働き方の選択肢を提示することで、将来への不安を軽減したいです。

2. 男性育休の意義と課題

Q. 男性育休について、講義を通じて考えが変化した点はありますか?

・男性育休の意義は、育児負担の偏りをなくし、職場全体の働き方を見直すきっかけになる点だと感じました。一方で、「評価への影響」や「周囲への迷惑」を懸念して取得しづらい現状もあります。講義を通じ、これは個人の意識だけの問題ではなく、誰かが休んでも回る体制を作る「職場や社会の仕組み」の問題だと強く認識するようになりました。

・医師不足の現状では、業務の補填を考えて取得を躊躇しがちです。しかし、実際に育休を取得された先生の「家族との時間やその後の生活へのプラスの影響は、仕事の中断というマイナス面を上回る」というお話が印象的でした。周囲の理解はもちろんですが、当事者が積極的に取得し、普及させていくことが前進への第一歩だと考えが変わりました。

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様々な環境で医師として勤務する中で、何らかの形で向き合うことになるライフイベントですが、自身が直面するまではなかなか考える機会を持つことが難しいのが現状です。

講義を機に、学生たちが自分のこととして真剣に考えている姿が印象的でした。